□ はじめに □

 気付かずに通り過ぎるのも一興だけれど。
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 食べるコトと飲むコトに異常なまでの執着があるのは自覚しているつもりだ。一時期は出された食事を残すコトさえ出来なかったくらい、僕は口にするものを愛している。
 料理を作る人間、酒を注ぐ人間、原料を育てる人間から順を追ったら、米じゃなくても八十八人以上の人間が介在しているだろう。摂取すると言うコトはそれくらい凄いことだと思う。

 だからと言って、他人にモノを残すなとかそんな不躾なことを言いたい訳ではない。只、一緒に食事する相手が、酒を酌み交わす相手が、其の時を愉しめるくらい目の前のテーブルに並ぶモノが、美味しければと願うだけだ。食事は単なる栄養摂取作業ではなく、其の時を彩れば其れは日常に添えられる小さな幸せになる。

 相も変わらず食道楽の駄目な酒飲み。此処に書いた店は僕の主観的な好みでしかない。美味しいモノを探すなら自分で行って確かめてもらいたいし、そうしなければ実際のトコロは解らないだろう。流行モノでもなく、有名な誰かの来訪でもなく、ただ僕は其の店でひと時を過ごして幸せだったと言うだけの話なのだから。