□ 登亭 □ H⇒P

 幼少の頃より慣れ親しんだ味。
 鰻は別におやじの食べ物じゃない。




 都心からそんなに近い家でもなかった割に丑の日には此処で鰻を買って帰り、家で鰻を食べるのが実家の風習と言うか今にして思えば父親の趣味だったんだろう。年季の入った建物に悪趣味に目立つ黄色い看板が目印の其の店に、新宿で働くようになってからも足を運んだ。三つ子の魂百までとは良く言ったモノで、何処で食べるどんな鰻より此処の鰻が口に合う。
 平日のランチタイムの店内にはサラリーマンらしき中高年のおやじばっかりで華のないのに少々がっかりはするが、外観程古びれてない店内は面構えから想像するよりずっと明るく、活気に溢れている。休日は家族連れの他に、馬券売り場で一発当てたこれまたおやじ共が溢れている訳で、平日とはまた違った活気があって賑やかだ。落ち着いて静かに食事をしたいタイプの人には向かない店だが、本来僕もそう言うタイプの割にこの店だけは好きで好きでたまらない。高級店を気取った料亭の鰻より気さくに楽しめる食事の方が好きらしい。
 寿司なんか一緒で質は値段によりきりだが、コストパフォーマンス的にはかなりお得な店だろう。肝焼き片手に酒をかっ喰らってるおやじに混じってでも、旨い鰻を食う度胸があるなら此処をお勧めする。